おにいさんの手帳

ブラック企業のオーナーを辞めて職探ししてるところから始まります

引っ越しの準備をしている。

殆ど荷物を借りたワゴンに詰め込んであるから、あとはパソコンとコートを積み込めばいいだけと言ったところ。

 

ところで私は剣術を習っている。習っているといってももう10年以上だし、段も年齢的に取り切れる限界まで来ている。剣術というだけあって、日本刀を使うわけだが、私が使っているのは真剣。当然、家においてある。

 

父も同じ流派の剣術をしていたので、家には四振りほど刀が転がっていることになる。模擬刀や木刀を入れると10を超す。引っ越しというわけなので、自分の木刀と模擬刀、そして真剣を車に積み込もうと準備をしていると私の真剣が見つからない。

 

どこを探しても見つからず、母に聞くと父に聞いてみたらと言われたのでさきほど聞いてみた。

 

「私の刀、どこですか」

 

その答えは

 

「真剣はヤバいので預かりました」

 

いつから無くなっているのか分からないけど、先月見たときにはあった記憶がある。記憶は曖昧だからあると思っていただけで随分前から実はなかったのかもしれない。

 

とにもかくにも意味が、分からない。

 

会社を辞める騒動時に、命の危機を感じた父が隠したのかもしれない。

騒動にある程度決着がついた後だというならば、私の人格をそれほどまでに疑っているのだろう。

 

どちらにしろ、落胆した。昨日渡された、私の名前が書かれた掛け軸は

縁切れの意味なのかもしれない。

 

それはそれでいいとして、私の愛刀は、どこにあるのだろうか。

強い喪失感が、漂っている。